芙蓉(ふよう) 初秋
【子季語】
木芙蓉/白芙蓉/紅芙蓉/花芙蓉/酔芙蓉
【解説】
アオイ科の落葉低木。高さは一・五~三メートル。八月から十月 にかけて白、あるいは淡紅色の五弁の花を咲かせるが、夕方には しぼんでしまう。咲き終わると薄緑色の莟のような実ができる。観賞用として庭などに植えられる。
【科学的見解】
フヨウは、中国原産とされており、日本では本州関東以西から九州にかけて野生化している。花の美しさから、庭先や公園などにも植栽されており、本種の花は桃色であるが、花の色が白色から桃色に変化するスイフヨウと呼ばれるものも存在している。フヨウの樹皮からは繊維が取れ、鹿児島県の甑島ではそれを紡いで芙蓉布が織られている。(藤吉正明記)
枝ぶりの日ごとにかはる芙蓉かな
芭蕉「後れ馳」
日を帯びて芙蓉かたぶく恨みかな
蕪村「遺草」
ほしのかげいだきてふけぬ白芙蓉
青蘿「書簡」
芙蓉さく今朝一天に雲もなし
紫暁「鴈風呂」
松が根になまめきたてる芙蓉かな
正岡子規「子規句集」