樫の花(かしのはな) 晩春
【解説】
常緑高木でアラカシ、シラカシ、イチイガシなどの総称。山野に自生のほか、人家のまわりの生垣や防風・防火のために植えられる。雌雄同株で、小さい黄褐色の雄花は糸のようにつながって枝からぶらさがり、雌花は葉のつけ根に小さくかたまって上向きに ついている。
【科学的見解】
樫は、ブナ科コナラ属の常緑性樹木に対して使用される名称であり、身近な樫の仲間としては、シラカシ、アカガシ、アラカシ、ウバメガシ、ツクバネガシ等が知られている。樫の仲間はブナ科の中でも特に木材密度が高いため、材が極めて硬く、木刀に利用されたり、炭の材料にされたりしている。最高級の炭として知られている備長炭の材料には、ウバメガシが使用されている。樫の仲間の花は、雄花と雌花が分かれた単性花であり、特に雄花は複数集まって垂れ下がる尾状花序を形成する。(藤吉正明記)