岩燕(いわつばめ/いはつばめ) 晩春
【子季語】
だけつばめ
【解説】
ツバメ科。体長は十五センチくらい。尾の切れ込みが浅く、腰の白い小ぶりな鳥。もともとは山地や海岸の岸壁や洞穴に集団で営巣していたが、最近はビルや橋の下などに巣を作る。産卵期は四月から八月にかけて。壷状の巣に一回に三、四個の卵を産む。「ジュリジュリ、ピィピィ」と早口に濁った声でさえずる。
岩燕 いわつばめ
【科学的見解】
イワツバメは、ツバメ科の鳥類で、主に夏鳥として九州から北海道までの地域に渡来する。暖地では稀に越冬する場合がある。ツバメより燕尾は短く、ツバメは顔や喉元が赤いのに対して、本種は白くなるのが特徴である。近年では、都市環境の拡大に伴い、風雨の影響のないビルや橋脚の高所部に球形の巣を作り営巣・繁殖している。巣は、ツバメ同様に粘土質の泥を主体とした素材であるため、営巣環境としては高い建造物や崖等の岩場が存在していることに加え、周辺に水田等の土が得られる場所に限る。産卵期は四月から八月で、三個から四個程度産卵する。(藤吉正明記)