蘇枋の実(すおうのみ/すはうのみ) 仲秋
【子季語】
紫荊の実
【解説】
蘇芳はマメ科ハナズオウ属の落葉低木。四月から五月にかけて紅紫色の花を咲かせ、九月ごろ五センチから七センチ程度の平たい豆果を実らせる。食用にはならない。
【科学的見解】
スオウは、インド及びマレー半島原産のマメ科樹木であり、昔から木材の中心部(心材)及び果実が染色に活用されてきた。それらの部位には、ブラジリンという色素が含まれており、アルミニウム媒染を行うと木綿などを鮮やかな赤色に染めることが出来る。近年、園芸用に植栽されているハナズオウやアメリカハナズオウは、花の色が蘇芳色に似ているということで名付けられているだけで、本種とは異なる植物である。(藤吉正明記)