麦の芽(むぎのめ) 初冬
【子季語】
麦の二葉/芽麦
【解説】
関東では十月、関西では十一月頃が麦蒔の時期。間もなく芽がで て、厳しい寒さの中を伸びていく。霜や雪がきても、冬枯れの中 に麦の芽は、青々と美しい。
【科学的見解】
身近で栽培されている麦は、コムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギなど存在するが、それらは皆秋に播種を行う。それらは、播種後すぐに芽を出し、冬に青々と葉を茂らす。麦類の花芽形成のためには春化処理を必要とし、この冬の時期の低温に晒されないと春先暖かくなっても花芽は形成されず実がならない。また、麦類はストレスを与えることで、茎数が増加する。そのため、冬季に麦踏を行い、強くしっかりとした株を育て、収量増につなげる作業を行う。(藤吉正明記)
【例句】
生出づる麦を青女のはだへかな
才麿「後しゐの葉」
麦生えてよき隠家や畠村
芭蕉「笈日記」
好日の土麦の芽の影とあり
長谷川素逝「素逝句集」