松菜(まつな) 仲春
【解説】
塩湿地植物の代表で、絶滅危惧種に指定されている。主に西日本の海浜の潮につからない陸側に自生する。葉は鮮緑色で一~三センチほどで松葉に似る。茎は直立して、五十~一メートル近くなり、七月ころ緑色の花を一、二個葉腋につける。秋になると茎は堅くなり紅色に紅葉して美しい。星形の実の中には黒い種子が入っている。
【科学的見解】
マツナは、ヒユ科(旧アカザ科)の一年草で、本州関東以西から九州までの海辺や塩水湖畔の砂地に生育している。若葉は食用となり、一部の地域では栽培もされている。近縁種としては、葉の幅がやや広いヒロハマツナ、秋には赤く紅葉するハママツナやシチメンソウが存在し、これらはすべて耐塩性を有している。(藤吉正明記)