氷室(ひむろ) 晩夏
【子季語】
氷室守、氷室の山、氷室の雪
【解説】
冬の天然氷を夏まで貯蔵するための室または洞穴。それを守る人が氷室守。『日本書紀』にすでに記述がある。春は四月から九月にかけて、各地の氷室から宮中に氷が献上された。現在も一部の地方に氷室がある。
【例句】
水の奥氷室尋ぬる柳かな
芭蕉「曽良書留」
神秘(じんぴ)そも人にはとかじ氷室守
蕪村「夜半臾句集」
六月を桜に知るや氷室もり
蓼太「蓼太句集」
氷室山雲鎖す木々の雫かな
大須賀乙字「乙字俳句集」
氷室守清き草履のうらを干す
前田普羅「定本普羅句集」
日はしんと空の深みに氷室跡
長谷川櫂「天球」
ひややかに神のこもれる氷室かな
長谷川櫂「新年」