竈馬(いとど) 三秋
【子季語】
かまどうま/かまどむし/おかま蟋蟀/えんのした蟋蟀/えび蟋蟀/裸蟋蟀おさる蟋蟀/かまご/いいぎり/いとど鳴く
【解説】
秋の虫の一つ。長く詩歌の世界では、蟋蟀と混同され、鳴くものとされていたが、実際は鳴かない。翅をもたないが、後ろ肢が強く跳躍に優れる。触角は極めて長い。木のうろなど暗所を好む。台所などにしばしば姿を現すこと、また馬のような跳躍をみせることなどから、その名がある。
【例句】
海士の屋は小海老にまじるいとどかな
芭蕉「猿蓑」
藁焚けば灰によごるる竈馬かな
丈草「藤の実」
啼くやいとど塩にほこりのたまるまで
越人「猿蓑」
磯際の波に鳴き入るいとどかな
惟然「韻塞」
いとど鳴く地を吹きにけり夜の風
闌更「半化坊発句集」
夜念仏の口まねをするいとど哉
一茶「七番日記」
浜納屋の破れ網這ふいとどかな
藤野古白「古白遺稿」