菜種蒔く(なたねまく) 晩秋
【解説】
種油をとるためのアブラナの種を八月から九月末頃までに蒔く。水田には稲刈の後の十月頃に蒔く。かつては菜種は広く栽培されていて、春になれば一面の菜の花畑となった。
【科学的見解】
アブラナ科植物の多くは、越年生であるため、夏から秋にかけて発芽し、緑の状態で冬越ししたのち、春に開花・結実する。日本では、アブラナ科植物の中でもセイヨウアブラナが油料作物として栽培されてきたが、現在では商業的な栽培がほとんど行われておらず、菜種蒔きがほとんど見られなくなった。食用の製油会社において、搾油のために使用される種子は、カナダやオーストラリアから輸入されている。昔の菜種栽培の名残として、現在ではそれらが全国の河川等で野生化している。(藤吉正明記)
【例句】
出水跡畝なしに菜種振り蒔けり
高田蝶衣「青垣山」