陸稲(おかぼ/をかぼ)三秋
【解説】
多くの稲は水田で作られるが、畑に栽培されるものもある。これが陸稲である。植物学的には水稲と同種であるが、畑に作られてきたので多くの水を必要としない。水が豊かでない所での栽培に適している。もち、うるちとも粘りが少なく、味も水稲よりは劣る。
【科学的見解】
イネは、長い栽培の歴史の中で、短粒種(ジャポニカ米)や長粒種(インディカ米)、また粳米や糯米などの性質の違いを区別し、様々な品種が生み出されてきた。日本のイネ栽培において、ご飯として食べる飯米は粳米が好まれ、艶があり粘りの強い品種が水を張った水田で栽培されており、それらは水稲と呼ばれている。それに対して、せんべいやおかきなどの菓子類の材料は糯米が好まれ、代掻きや水を張らない状態で栽培が行われるため、陸稲(おかぼ)と呼ばれている。現在、陸稲の栽培は、栃木県や茨城県などで栽培が行われており、トヨハタモチやゆめのはたもち、ひたちはたもちなどの品種がその代表である。(藤吉正明記)