雀の巣(すずめのす) 三春
【子季語】
巣引雀(すびきすずめ)/巣藁雀(すわらすずめ)
【解説】
雀の営巣期は早春から夏にかけて行われ、人家の屋根裏や瓦の隙間、廂裏などにつくる。煙突、高い木の枝の上、古木の空洞などにもつくることもある。材料は藁、枯草、小枝、草の根など。産卵は年二、三回で、一回に五~八個の卵を産む。「雀のお宿」などいわれるように人間とのかかわり合いが深い。
【科学的見解】
スズメは、スズメ科の野鳥であり、日本全国に留鳥として広く生息している。近縁種としては、ニュウナイスズメや近年北海道で確認されているイエスズメが知られている。本種は、雨の当たらない隙間等を営巣場所とするため、人家付近にいる場合が多い。春から繁殖期に入り、年一回から三回産卵する。営巣場所は人家の屋根付近の隙間が多いが、近年ではコンクリート壁面に水抜きのために設けられたパイプの中等も営巣場所として利用している。繁殖期以外の時期は群れになり、夜になると葉の茂った大きな樹木や竹林等で集団ねぐらを形成する。(藤吉正明記)
【例句】
巣はあだに軒の雀の声高き
白雄「白雄句集」
こと更にがしかましさや雀の巣
三巴「新類題発句集」
人も来ず神殿古りて雀の巣
正岡子規「子規全集」