川苔(かわのり/かはのり)三秋
【子季語】
川海苔
【解説】
渓流に生ずる緑藻植物の一種。関東以南の太平洋側の河川の上流に育成する。採取時期は八月から十一月。渓流の岩の面に着生しているものを指でつまむようにして採取する。浅草のりほどの香気はないが、茶懐石などで珍重される。
【科学的見解】
カワノリは、カワノリ科に属する淡水性の藻類であり、山間の渓流中岩上に着生している。本種は、緑藻類であり、食用として味噌汁や酢の物などに利用される。また、広義の川苔としては、九州北部の河川で採取されるスイゼンジノリが知られており、こちらも食用として刺身のつまや酢の物に利用されている。このスイゼンジノリは、前者とは異なり、藻類ではなくラン藻類と呼ばれる別の生物群に位置づけられている。(藤吉正明記)