錦鶏菊(きんけいぎく) 晩夏
【解説】
キク科ハルシャギク属の一年草。北アメリカ原産。明治時代に渡来した。日本各地の空き地や道端、河川敷などに群生する。草丈は一メートル以上にもなり、五月から八月にかけて黄色のあざやかな花を咲かせる。草全体が菊芋や黄花コスモスに似ている。
【科学的見解】
北米原産のキンケイギクは、キク科の一年草もしくは越年草で、観賞用として花壇や庭先などで栽培されている。花は、舌状花と筒状花を合わせた頭花となり、舌状花は全体黄色であるが、付け根が赤みを帯びる。近縁種としては、同じキク科キンケイギク属のオオキンケイギクやハルシャギクなどが知られている。オオキンケイギクは、繁殖力が高く在来種の生育地を奪ってしまうため、環境省の特定外来植物に指定され、栽培などが禁じられている。(藤吉正明記)
【参考意見】
園芸的に「キンケイギク」と呼ばれる植物には、本物のキンケイギクの他に、オオキンケイギクとホソバハルシャギクがある。本物のキンケイギクは江戸時代末期に日本に入り、昭和30年頃まで普及していたが、花が貧弱で一・二年草であるため次第に姿を消し、現在ではほとんど見られなくなった。明治期に入ったオオキンケイギクは多年草で群生すると美しく、広く栽培されてきたが、特定外来生物に指定され現在は流通していない。ホソバハルシャギクは、近年改良された園芸品種が流通しているが、和名が実体にそぐわずほとんど認知されてないため、園芸界から姿を消したキンケイギクの名前が代わりに使われるようになったものと推察される。(河野隆行)