鯵(あじ、あぢ)三夏
【子季語】
真鯵、室鯵、小鯵、鯵釣、鯵売
【関連季語】
沖膾
【解説】
梅雨のころ旬を迎える海洋魚。鯖、鰯と並ぶ大衆魚である。代表的な料理「鰺のたたき」は漁師料理の沖膾から始まったとされる。沖膾は、漁師が獲ったばかり魚をその場で料理して食べるというもの。ほかに刺身、塩焼き、フライ、干物などにして食す。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【実証的見解】
スズキ目アジ科に含まれる海洋魚の総称。背は黒っぽく腹は銀色。大きさは十五センチくらいが一般的であるが、大きいもので四十センチにもなる。種類はマアジが多く他に、ムロアジ、シマアジなどが市場に出回る。黒潮に乗って回遊するものと沿岸の岩場などに住み着いて回遊しないものがあり、後者は関鯵が有名である。四月ころ産卵のために沿岸に近寄る。夏から秋にかけてが漁期。
【例句】
世の中を知らずかしこし小鯵売
其角「其袋」
活鯵や江戸潮近き昼の月
一茶「享和句帖」
小鯵焼く妻や厨の片襷
巌谷小波「さゞら波」
小鯵売虹にそむきて行きにけり
五十崎古郷「古郷句集」