鏡餅(かがみもち) 新年
【子季語】
御鏡、餅鏡、据り餅、御供、御供餅
【関連季語】
伊勢海老、裏白、具足餅、鏡開
【解説】
正月に飾る丸餅。三方に大小二個の鏡餅を重ね、橙、伊勢海老、裏白、昆布、串柿などで飾る。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【実証的見解】
餅を鏡の形にして、神に供えるものが鏡餅である。三種の神器の一つ八咫鏡(やたのかがみ)に擬したものともいわれる。鏡餅が現在のような形で供えられるようになったのは室町時代以降のことといわれる。武家では男子が、正月に鎧や兜を飾り、その前に餅を供えた。これが具足餅である。女子は、普段使う鏡の前にそなえたとされ、それが鏡餅の由来という説もある。
【例句】
古歌に曰くちとせぞ見ゆるかがみ餅
宗因「宗因発句集」
正月を出して見せうぞ鏡餅
去来「夏の月」
かゞみ餅蜜柑はうまき時分也
許六「旅館日記」
長生に徳あり姥が居(すわ)り餅
園女「菊のちり」
かゞみ餅母在して猶父恋し
暁台「暁台句集」
ふくよかにすわりめでたし鏡餅
村上鬼城「定本鬼城句集」
つぎつぎに子ら家を去り鏡餅
加藤楸邨「まぼろしの鹿」
鏡餅わけても西の遙かかな
飯田龍太「山の影」
天地を一つにまるめ鏡餅
長谷川櫂「初雁」