左義長(さぎちょ、さぎちやう) 新年
【子季語】
三毬杖、とんど、どんど、どんどん焼き、どんど正月、どんど場、さいと焼き、正月小屋、どんどん小屋、さいと小屋、飾りあげ、飾りはやし、吉書揚、みそどんど、爆竹、飾焚
【解説】
小正月に行われる行事。一月十四日の夜または十五日の朝に松飾りや注連飾りを焚きあげる。この火で餅団子を焼いて食べると一年中無病息災であるとされる。書初の書を燃やして高く上がると上達するとも言われている。「どんど焼」の「どんど」は「どんど燃えろ、どんど燃えろ」という囃し言葉からきたとされる。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【実証的見解】
左義長は、平安時代の宮中行儀の吉凶占いがその始まりとされる。大焚火の中心になるのは、三本に組まれた毬杖(ぎちょ)といわれる祝い棒または竹である。これに村人が持ち寄った正月飾りなどを結んで火をつけ、門松や注連飾りによって迎えた歳神を、それらを焼いた火によって送り返すのである。
【例句】
小雨降るとんども例の火影かな
鬼貫「仏の兄」
左義長に尻あぶりゐるも男気ぞ
言水「遠帆集」
餅焼くをいとま乞のどんどかな
太祗「太祗句選後篇」
どんど焼どんどと雪の降りにけり
一茶「七番日記」
おどろかすどんどの音や夕山辺
青蘿「青蘿発句集」
どちらからも田中の神やかざり焚く
道彦「蔦本集」
お飾りを焚いて真冬に戻りけり
長谷川櫂「初雁」