初夢(はつゆめ) 新年
【子季語】
夢祝、夢流し、初枕、獏枕
【解説】
元日の夜または二日の朝にみる夢。二日の夜に見る夢を初夢という地方もある。縁起のよい初夢として「一富士二鷹三茄子」があるが、吉夢を願って宝船の絵を枕の下に置いて寝たり、悪い夢は「獏に食わせろ」ということから、獏の絵を枕の下にして寝たりする。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【文学での言及】
年くれぬ春は来べしとは思ひ寝にまさしく見えてかなふ初夢 西行『山家集』
【例句】
はつ夢や正しく去年の放し亀
言水「柏崎」
初夢や額にあつる扇子より
其角「五元集拾遺」
初夢やさめても花ははなごころ
千代女「書簡」
はつ夢や鷹ふところにぬくめ鳥
蓼太「蓼太句集三編」
口々に指折る人や夢はじめ
麦水「葛箒」
初夢に古郷を見て涙かな
一茶「寛政句帖」
初夢や金も拾はず死にもせず
夏目漱石「漱石全集」
初夢もなく穿く足袋の裏白し
渡辺水巴「水巴句集」
初夢に見し踊子をつつしめり
森澄雄「浮鷗」
夢はじめ現(うつつ)はじめの鷹一つ
森澄雄「浮鷗」