歯朶(しだ) 新年
【子季語】
羊朶、裏白、鳳尾草、穂長、諸向、山草
【関連季語】
注連飾、鏡餅
【解説】
歯朶は、新年の注連飾や鏡餅に添えられる飾り物の一つ。常緑であることから子孫繁栄につながるとされる。葉裏が白いので裏白とも呼ばれ、めでたい夫婦の共白髪に見立てられる。また、二つの葉を左右対称に並べることから夫婦円満のシンボルともみなされる。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【科学的見解】
新年の縁起物として活用される歯朶は、裏白(ウラジロ)である。ウラジロは、ウラジロ科ウラジロ属の在来植物で、本州山形以南から沖縄までの山地や山麓の日当たりの良い場所に生育する。正月用の飾りに活用する他、かごなどの工芸品を作る材料にもなる。(藤吉正明記)
【例句】
もろむきやおものやどりの朝柏
言水「歳旦帖」
国栖魚に日覆ふ歯朶の折葉哉
言水「歳旦三物集」
見せばやな餅の長櫃歯朶入れて
才麿「すがた哉」
餅を夢に折ゝ結ふ歯朶の草枕
芭蕉「東日記」
春立つや歯朶にとどまる神矢の根
許六「韻塞」
名こそかはれ江戸の裏白京の歯朶
正岡子規「子規句集」