余寒(よかん) 初春
【子季語】
残る寒さ
【関連季語】
冴返る
【解説】
寒が明けてからもなお残る寒さ。春の兆しはそれとなくあるものの、まだまだ寒さは続く。立秋以後の暑さを「残暑」というが、それに対応する季語である。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【例句】
情なう蛤乾く余寒かな
太祗「太祗句選」
関能の戸の火鉢小さき余寒かな
蕪村「夜半叟句集」
水に落ちし椿の氷る余寒かな
几菫「井華集」
ものの葉のまだものめかぬ余寒かな
千代女「松の声」
暗がりの鰈に余寒の光かな
嘯山「葎亭句集」
踏みわたる余寒の苔の深みどり
日野草城「花氷」