仏生会(ぶっしょうえ、ぶつしやうゑ) 晩春
【子季語】
釈尊降誕会、仏誕会、誕生会、降誕会、浴仏会、灌仏、 灌仏会、花の塔
【関連季語】
花祭、甘茶、花御堂
【解説】
旧暦の四月八日、釈尊の誕生の日の法会。美しく飾った「花御堂」をしつらえて、その中に安置した誕生仏に杓子で甘茶をかけて祝う。新暦になってからは桜の時期と重なるので「花祭」ともいう。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【実証的見解】
仏性会は、涅槃会、成道会に並ぶ、仏教の三大法要のひとつで、四月八日あるいは五月八日に修される。釈迦の誕生は紀元前五世紀ころ。母親の摩耶夫人は白象が体内に入る夢を見て懐妊したとされる。釈迦は生まれるとすぐ七歩あゆみ、「天上天下唯我独尊」と唱えたという。すると八大竜王が歓喜して甘露の雨を降らせ、釈迦はそれを産湯にした。仏性会の誕生物に甘茶をかけるのは、この故事による。仏性会は、六百六年ころ中国から伝わって宮廷行事となり、室町中期以降、全国の寺院で営まれるようになった。
【例句】
灌仏の日に生まれあふ鹿の子哉
芭蕉「笈の小文」
灌仏や雛手を合はする数珠の音
芭蕉「三冊子」
灌仏の御指の先や暮の月
一茶「八番日記」
雲のあゆみ水のゆくかたや仏生会
白雄「題葉集」
額づけば我も善女や仏生会
杉田久女「杉田久女句集」
甘茶仏杓にぎはしくこけたまふ
川端茅舎「川端茅舎句集」
灌佛や鳶の子笛を吹きならふ
川端茅舎「川端茅舍句集」
大雨の降りかくす嵯峨や仏生会
渡辺水巴「水巴句集」
生れし日はわれも小さし仏生会
森澄雄「餘日」
白象の糸のまなじり仏生会
長谷川櫂「蓬莱」