青麦(あおむぎ、あをむぎ)三春
【子季語】
麦青む
【関連季語】
麦の秋、麦
【解説】
春先、麦の若葉が出揃い穂が出るまでのあいだの麦をいう。麦は、秋に種をまき、冬に芽吹き、春、若葉を伸ばし、夏に稔る。まだ春の景色が整わない中、畑一面に萌え出た麦の若葉の緑は目にも鮮やかなものである。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【科学的見解】
小麦(コムギ)、大麦(オオムギ)、ライ麦(ライムギ)、燕麦(エンバク)などの麦類はイネ科の越年草(冬型一年草)で、中央、西アジアが原産。日本には三、四世紀ころに伝わったとされる。晩秋から初冬に蒔かれ、冬を越して晩春には青々とした穂が出る。これが穂麦で、初夏に黄熟し刈り取られる。世界的に栽培される麦類は大麦、小麦、ライ麦、燕麦で、世界の穀物生産の半分近くになる。(藤吉正明記)
【例句】
青麦や雲雀があがるありやさがる
鬼貫「金昆羅全」
青麦に降れよと思ふ地のかわき
杉田久女「杉田久女句集」
青麦の穂のするどさよ日は白く
篠原鳳作「海の旅」