春の草(はるのくさ) 三春
【子季語】
春草、芳草、草芳し、草かぐわし
【関連季語】
下萌
【解説】
春の大地に萌えでた草。芹や蓬、虎杖など食用になるものも多く、いずれもみずみずしく、やわらかい。
【科学的見解】
草の芽生えは、木の芽と同様に、芽吹い葉や茎が急速に成長するため、色合いや群落の様子が短期間で大きく変化する。イネ科やユリ科等の単子葉植物とキク科やマメ科等の双子葉植物では、群落の様子が異なる。草の芽生えは、草丈が低く採取しやすいために、木の芽よりも食用にされる種類が多い。(藤吉正明記)
【来歴】
『山の井』(正保5年、1648年)に所出。
【文学での言及】
おもしろき野をばな焼きそふる草に新草まじり生ひば生ふるがに 東歌『万葉集』
【例句】
木曾の情雪や生(はえ)ぬく春の草
芭蕉「庵小文庫」
風わたり泥も乾きて春の草
嵐雪「為延追善集」
我帰る道いく筋ぞ春の草
蕪村「自画賛」