若草(わかくさ) 晩春
【子季語】
嫩草、初草、若草野、新草、草若し
【関連季語】
【解説】
芽を出して間もない草のこと、みずみずしくやわらかい。蓬、芹、薊などのように、食用になる若草も多い。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
若草の新手枕(にひたまくら)を巻きそめて夜をや隔てむ 憎くあらなくに 作者不詳『万葉集』
【科学的見解】
草の芽生えは、木の芽と同様に、芽吹い葉や茎が急速に成長するため、色合いや群落の様子が短期間で大きく変化する。イネ科やユリ科等の単子葉植物とキク科やマメ科等の双子葉植物では、群落の様子が異なる。草の芽生えは、草丈が低く採取しやすいために、木の芽よりも食用にされる種類が多い。(藤吉正明記)
【例句】
前髪もまだ若草の匂ひかな
芭蕉「翁草」
若草に口ばしぬぐふ烏かな
凡兆「曠野後集」
若草や名札拾へば知れる人
几菫「晋明集四稿」
わか草や烏帽子ながらの肘枕
几菫「晋明集五稿」
若草や四角に切りし芝の色
太祗「太祗句選後編」
若草に初音かましや朝烏
野坡「油船集」
若艸や水を隔てて駒の声
麦水「葛箒」
若草も風呂場流るるはたけ縁
素丸「素丸発句集」
春もはや十色にあまる小草かな
青羅「青羅発句集」