土筆(つくし) 仲春
【子季語】
つくづくし、つくしんぼ、筆の花、筆頭菜、土筆野、土筆摘
【解説】
筆和、土筆飯、土筆汁トクサ科の多年草。杉菜の胞子茎をいう。三月ごろから日のあたる土手や畦道に生える。筆のような形をしているのでこの名がある。
【科学的見解】
土筆は、スギナというシダ植物の胞子葉の部分をさす。春先、土壌中にある地下茎から胞子葉が伸び、地上に出たあとは茎を伸ばし先端から胞子を飛散させる。その後、遅れて細く尖った松葉状の葉(栄養葉)を出し、活発に光合成を行う。スギナは、在来の植物で、北海道から九州まで分布する。土筆は、食用となり、春の山菜として昔から親しまれている。(藤吉正明記)
【例句】
真福田が袴よそふかつくづくし
芭蕉「花声」
見送りの先に立ちけりつくづくし
丈草「射水川」
つくづくしここらに寺の趾もあり
千代女「松の声」
つくつくしほうけては日の影ぼうし
召波「春泥発句集」
ままごとの飯もおさいも土筆かな
星野立子「立子句集」