海苔(のり)初春
【子季語】
篊菜、紫海苔、甘海苔、篊海苔、浅草海苔、葛西海苔、十六島海苔
【解説】
水の中の岩などに育つ苔状の食用藻類の総称。とくに全国各地に生育する浅草海苔を指すことが多い。海苔の採取は、九月の頃に竹で作った海苔ひびや、楢や樫の枝を用いた海苔粗朶を真水と海水の混じり合う域に仕込み、海苔の付着を待つ。
【例句】
海苔汁の手ぎは見せけり浅黄椀
芭蕉「茶の草子」
衰ひや歯に喰ひあてし海苔の砂
芭蕉「己が光」
海苔の香もゆかし有曾の島廻り
北枝「喪の名残」
此比の朝夕やすし海苔二枚
蓼太「大島蓼太句集初篇」
嶋からの文のしめりや海苔の塩
蝶夢「草根発句集」
海苔の香や障子にうつる僧二人
梅室「梅室句集」