泉(いずみ、いづみ)三夏
【子季語】
泉川、やり水
【解説】
山中の岩間などから清冽な地下水が地表に湧き出して、小さな流れや池となったもの。湧き出るときの静かな音や、水の透明感が夏の涼しさを呼ぶ。清らかな水であることから、古くは旅人が乾いた喉を潤した。
【例句】
結ぶより早歯にひゞく泉かな
芭蕉「都曲」
緑わく夏山陰の泉かな
蓼太「蓼太句集三編」
さゝれ石もわきて泉の流れかな
紹巴「大発句」
青松葉見えつゝ沈む泉かな
正岡子規「子規句集」
刻々と天日くらきいづみかな
川端茅舍「華厳」
千年の泉ごぼりとたなごころ
加藤楸邨「死の塔」
泉への道後れゆく安けさよ
石田波郷「春嵐」
淋しさの底より湧ける泉かな
長谷川櫂「初雁」