単衣(ひとえ、ひとへ)三夏
【子季語】
単物(ひとへもの)、ひとへの袖
【解説】
裏地すなわち裏打ちのない夏の和服。生地は様々だが、初夏のころはセル、暑くなってくると絽や紗を用いる。軽やかで見た目にも涼しい。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
蝉の羽のひとへに薄き夏衣なればよりなむものにやはあらぬ 凡河内躬恒『古今集』
夏衣うすきながらぞたのまるるひとへなるしも身に近ければ よみ人しらず『拾遺集』
【実証的見解】
更衣は旧暦の四月一日。この日に袷から綿をぬくのが古くからの慣習であった。さらに、旧暦の五月五日には袷から裏地のない単衣に着替えるという二段階目の更衣が古くから行われていた。単重の着用の期間は端午の節句から旧暦の八月末までとされる。