鮓(すし)三夏
【子季語】
すもじ、握り鮓、押鮓、稲荷鮓、なれ鮓、鮎鮓、鮒鮓、鮓桶、鮓の石、鮓漬ける
【解説】
鮓はもともと、魚介類を保存のため塩蔵して自然発酵をさせたもの。時代が下り飯を加え、飯が発酵して魚が熟し酸味がでてきたものを食した。この形に近いもので有名なのが琵琶湖の鮒鮓など全国にもいくつか残っている。一夜鮓は酢で味付けし、重石を乗せ一晩置いて食べる。馴鮓(熟鮓)に使う酢が夏の暑さに耐えるため、夏の季語に入る。
【例句】
鮒鮓や彦根の城に雲かかる
蕪村「蕪村句集」
鮓おしてしばし淋しきこころかな
蕪村「蕪村句集」
鮓うりを垣からまねく穂蓼哉
高政「俳諧師手監」
早鮓や東海の魚背戸の蓼
正岡子規「寒山落木」
鯛鮓や一門三十五六人
正岡子規「寒山落木」
ふるさとや親すこやかに鮓の味
正岡子規「寒山落木」
鮎鮓の馴れあふころを月暗く
長谷川櫂「天球」