梅干(うめぼし) 晩夏
【子季語】
干梅、梅干す、梅筵、梅漬
【解説】
青梅を塩漬にして重しをすると二、三日で梅酢ができる。赤紫蘇を加えて色をつけてからその梅を取り出して、戸板や筵に並べて天日に干す。干しては梅酢に戻し、「三日三晩の土用干し」と称して夜露にも当てる。数日それを繰り返すうちに梅は乾いて皺ができる。こうして干しあげたものを壺に貯蔵する。食生活に深く根を下ろした日本的な食品の一つである。
【例句】
梅漬にむかしをしのぶ真壺哉
召波「春泥発句集」
寝るべしや梅干ほして一昼間
道彦「発句題叢」
干梅に口の涼しき日南かな
有隣「新類題発句集」
木の下に其の梅漬ける小庭かな
尾崎紅葉「紅葉句集」
干梅の紅見れば旱雲
河東碧梧桐「碧梧桐句集」