毛虫(けむし)三夏
【子季語】
毛虫焼く、毛虫這ふ
【関連季語】
芋虫
【解説】
夏、樹木の葉などに見られる体中が毛で覆われている、芋虫に似た虫。樹木の葉を食べた、人を刺したりするため焼き、薬物で駆除する。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【実証的見解】
蝶や蛾の幼虫のうち、体が毛で覆われているものをいう。ドクガ科、カレハガ科の幼虫など、毒をもっているものもあり、それらに触れると皮膚に炎症を起こしたりする。アメリカシロヒトリなどが大発生すると、果樹などの樹木に深刻な被害を与えるので、バーナーなどで焼いたりする。蝶や蛾の幼虫のうち毛で覆われていないものは芋虫である。
【例句】
毛虫落ちてままごと破る木陰かな
言水「稲筵」
侘びぬれど毛虫はおちぬ庵かな
鬼貫「仏の兄」
袖笠に毛むしをしのぶ古御達
蕪村「新花摘」
明がたの風にふくるる毛虫かな
楚堂「新深川集」
短夜や焼酎瓶の青毛虫
北原白秋「竹林清興」
毛虫焼く炎の色のかはりけり
高田正子「玩具」