蠅(はえ、はへ)三夏
【子季語】
家蝿、金蝿、銀蝿、縞蝿、青蝿、黒蝿、蝿の声
【関連季語】
春の蝿、秋の蠅、冬の蠅、蠅叩、蠅生る
【解説】
夏、食べ物などにたかる羽を持った虫。うるさくて、不潔ということで嫌われる。蠅叩きや蠅取紙などで駆除する。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
【実証的見解】
ハエ目イエバエ科、クロバエ科などの昆虫の総称。家の中の食べ物に集まる家蠅、魚の腸などに集まる縞蠅、汚物などに集まる黒蠅。他にも蒼蠅、銀蠅など種類は多い。体色は黒や青緑色。よく発達した前翅を持ち飛翔能力は昆虫類の中でも非常に高い。食べ物にたかって栄養分を接種するため、赤痢などの伝染病の媒介となることもある。蠅は汚物に卵を産みつけ、蠅の幼虫の蛆(うじ)は汚物のなかで育つ。
【例句】
うき人の旅にも習へ木曾の蠅
芭蕉「韻塞」
顔につく飯粒蠅にあたへけり
嵐雪「玄峰集」
蠅いとふ身を古郷に昼寝哉
蕪村「蕪村自筆句帳」
蠅打てつくさんとおもふこころかな
成美「成美家集」
やれ打つな蠅が手をすり足をする
一茶「梅塵八番」
庭土に皐月の蠅の親しさよ
芥川龍之介「澄江堂句集」