蝸牛(かたつむり)三夏
【子季語】
かたつぶり、ででむし、でんでんむし、まいまい
【解説】
渦巻き状の薄い殻、伸縮自在の柔らかな体。二本の角を出し、木や草をゆっくりと這う。梅雨のころによく見られる。童謡などにも唄われる。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【実証的見解】
マイマイ目陸生有肺類の巻貝の総称。渦巻状の殻を背負い、頭には二本の触角がある。その触角の長いほうの先端が目の役割をする。雌雄同体で地中に卵を産む。湿気を好み木や草に張りついて若葉などを食う。冬には冬眠する。
【例句】
かたつぶり角ふりわけよ須磨明石
芭蕉「猿蓑」
白露や角に目を持つかたつぶり
嵐雪「其便」
ころころと笹こけ落ちし蝸牛
杉風「続別座敷」
かたつぶりけさとも同じあり所
召波「春泥発句集」
夕月や大肌ぬいでかたつむり
一茶「七番日記」
親と見え子と見ゆるありかたつぶり
太祗「太祗句稿」
蝸牛いつか哀歓を子はかくす
加藤楸邨「颱風眼」
かたつむり甲斐も信濃も雨のなか
飯田龍太「山の木」
木に草に雨明るしや蝸牛
長谷川櫂「古志」