若楓(わかかえで、わかかへで) 初夏
【子季語】
若葉の楓、楓若葉、青楓
【関連季語】
楓の芽、楓の花、紅葉
【解説】
楓の若葉のこと。楓は、秋の紅葉もさることながら、初夏の若葉の美しさもまた格別のものがある。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
散はてし桜が枝にさしまぜて盛りとみするわかかへでかな 藤原為家『夫木和歌集』
卯月ばかりの若楓、すべて、よろずの花紅葉にもまさりてめでたきものなり。『徒然草』(139段)吉田兼好
【科学的見解】
楓は、カエデ科カエデ属の植物の総称であり、日本には在来の楓として二十六種が自生している。代表的な楓としては、イロハモミジが知られており、山野に自生する他、公園や庭木として植栽されている。イロハモミジの園芸品種も多数作出されている。(藤吉正明記)
【例句】
都出て又宮古ありわか楓
支孝「東西夜話」
三井寺や日は午にるせまる若楓
蕪村「新花摘」
雨重き葉の重なりや若かへで
太祇「独喰」
公達の手ならひの間や若楓
涼莵「浮世の北」
若楓硯のうへを風とほる
長谷川櫂「果実」