睡蓮(すいれん) 晩夏
【子季語】
未草
【解説】
七月から八月にかけて、水面に浮かぶように咲く花。蓮によく似るが、蓮のように茎が立ち上がらない。印象派のモネが好んで描いた花でもある。【子季語】のヒツジ草は日本の野生種の睡蓮で、未の刻に萎んだり開花したりするからこの名があるといわれる。
【来歴】
『俳諧大成新式』(元禄11年、1698年)に所出。
【科学的見解】
睡蓮は、スイレン科スイレン属の水生植物の総称。熱帯から温帯に広く分布する。外来植物であり、多数の園芸品種が散在する。日本在来のスイレン属植物は、ヒツジグサの一種のみである。睡蓮の地下茎はワサビのように太く、そこから茎を伸ばして光沢のある葉を水面に浮かべる。夏に花茎を伸ばし同じく水面に蓮に似た花を咲かせる。花の大きさは十センチくらい。花の色は、白、赤、黄など。古代エジプトでは神聖視されていた。(藤吉正明記)
【例句】
睡蓮の花沈み今日のこと終へず
臼田亜浪「定本亜浪句集」
睡蓮の敷き重なりし広葉かな
星野立子「立子句集
睡蓮の池より流れ来し一花
高田正子「玩具」