木賊(とくさ)仲秋
【子季語】
砥草
【関連季語】
木賊刈る
【解説】
木賊は、青々として棒状に直立する。姿は竹に似て、はるかに小さく、茎は杉菜に似て、はるかに大きい。観賞用に庭園に植えられるほか、茎が充実する秋に刈り取って乾燥させ、研磨材や漢方薬に用いる。「研ぐ草」であることからこの名がある。
【来歴】
『滑稽雑談』(正徳3年、1713年)に所出。
【文学での言及】
能の『木賊』
とくさ刈るその原山の木の間よりみがき出でぬる秋の夜の月 源仲正『夫木和歌抄』
白き猫庭の木賊の日たむろに眼はほそめつつまだ現なり 北原白秋『雀の卵』
夕かげの木賊にうつる秋の蝶驚きて立ちまたとまりたる 北原白秋『雀の卵』
【科学的見解】
トクサは、常緑性の多年草シダ植物で、本州から九州までの湿り気の多い場所に生育する。また、観賞目的として庭園や庭先等に植栽されている。トクサは、葉と茎が一体化したシンプルな形をしており、その茎先端部に胞子嚢穂を形成する。近縁種としては、同じトクサ科トクサ属のイヌドクサや身近なところでよく見られるスギナ等が存在する。(藤吉正明記)
【例句】
ものいはぬ男なりけり木賊刈り
蓼太「蓼太句集」