二百十日(にひゃくとおか、にひやくとをか) 仲秋
【子季語】
厄日、二百二十日
【解説】
立春から数えて二百十日目をいう。新暦九月一日ころにあたる。台風シーズンの到来が、稲の開花時に当るため特に警戒したものである。二百二十日とともに稲作農家にとっては厄日とする。
【来歴】
『俳諧通俗誌』(享保2年、1716年)に所出。
【実証的見解】
二百十日は、なぜ二十四節気の一つ「立春」から数えるのか。二十四節気は太陽暦に基づいて一年を二十四に分けたもので、旧暦と違って季節のずれがなく、農作業の目安となる。新暦の二月四日ころにあたる立春は、ちょうど旧暦の正月のころと重なる。正月も年のはじめなら、「立春」もまた年のはじめ。立春を年のはじめと定めることで、「八十八夜」「二百十日」というような季節点をおき、農事の目安や自然災害に対する備えとしたのである。
【例句】
二百十日も尋常の夕べかな
蕪村「夜半叟句集」
市に隠る二百十日は昨日なり
几董「井華集」
菜大根二百十日の残りかな
李由「韻塞」