朝寒(あさざむ) 晩秋
【子季語】
朝寒し、朝寒み
【関連季語】
そぞろ寒、やや寒、肌寒、夜寒、秋寒、露寒、うそ寒
【解説】
晩秋、朝のうちだけ、ひやりと寒さを感じる。その寒さは昼近くなると消えてしまう。「寒き朝」「今朝寒し」は冬である。
【来歴】
『増山の井』(寛文7年、1667年)に所出。
【文学での言及】
雁鳴きて寒き朝の露ならし龍田の山をもみだすものは よみ人知らず『後撰集』
【例句】
朝寒や旅の宿たつ人の声
太祇「太祇句選後編」
寺子屋の門うつ子あり朝寒み
太祇「太祇句選後編」
朝寒に鉈の刃鈍きひびきかな
几董「晋明集二稿」
朝寒のけふの日南や鳥の声
鬼貫「鹿子の渡」
二日咲く木槿となりて朝寒し
暁台「暁台句集」
朝寒や雑巾あてる門の石
一茶「八番日記」
朝寒や舞台にのぼる影ぼふし
梅室「梅室家集」
朝寒やひとり墓前にうづくまる
正岡子規「子規句集」
朝寒や生きたる骨を動かさず
夏目漱石「漱石全集」
朝寒やまたゝきしげき仏の灯
星野立子「続立子句集第二」
長谷川櫂「蓬莱」
朝寒や自転車を立て豆腐売る