後の月(のちのつき) 晩秋
【子季語】
十三夜、名残の月、月の名残、二夜の月、豆名月、栗名月、女名月、後の今宵
【関連季語】
名月
【解説】
旧暦九月十三夜の月。八月十五夜は望月を愛でるが、秋もいよいよ深まったこの夜は、満月の二夜前の欠けた月を愛でる。この秋最後の月であることから名残の月、また豆や栗を供物とすることから豆名月、栗名月ともいう。
【来歴】
『俳諧初学抄』(寛永18年、1641年)に所出。
【文学での言及】
九月十三日夜、閑かに月見るといへることをよめる
すみのぼる心やそらをはらふらむ雲の塵ゐぬ秋の夜の月 源俊頼『金葉集」
【例句】
木曾の痩せもまだなほらぬに後の月
芭蕉「笈日記」
三井寺に緞子の夜着や後の月
蕪村「夜半叟句集」
稲懸けて里しづかなり後の月
蓼太「蓼太句集初編」
すみきつて木の陰凄し後の月
闌更「三傑集」
後の月水より青き雲井かな
樗良「樗良句集」
あつ物に坐敷くもるや后の月
梅室「梅室家集」
後の月つくねんとして庵にあり
正岡子規「子規全集」
この秋のなごりの月を出雲崎
長谷川櫂「初雁」