秋の山(あきのやま)三秋
【子季語】
秋山、秋嶺、秋の嶺、山澄む、山の秋、秋の岳
【解説】
澄んだ空気のなかでくっきりと聳え立つ山である。夏の名残をとどめる青々とした山から、実りの山へとうつりかわり、やがて晩秋には紅葉に彩られる。ハイキングやきのこ採、紅葉狩りなどで賑わい見せる山でもある。
【来歴】
『俳諧線車大成』(寛政11年、1799年)に所出。
【文学での言及】
秋の山もみぢを幣と手向くればわれさへぞ旅心ちする 紀貫之『古今集』
【例句】
秋の山ところどころに烟たつ
暁台「暁台句集」
立ち去る事一里眉毛に秋の峰寒し
蕪村「蕪村句集」
家二つ戸の口見えて秋の山
道彦「蔦本集」
入相のあとや明けにき秋の山
支考「西の雲」
秋の山人顕れて寒げなり
一茶「文化句帖」
秋山や駒もゆるがぬ鞍の上
其角「続虚栗」
信濃路やどこ迄つゞく秋の山
正岡子規「子規句集」
秋の山南風を向いて寺二つ
夏目漱石「漱石全集」
牧ここを広げんと思ふ秋の山
大須賀乙字「乙字句集」
秋の山縁広ければ臥して見る
松本たかし「松本たかし句集」
頂上の道二すぢや秋の山
原石鼎「花影」
銀閣寺裏は切り立つ秋の山
長谷川櫂「初雁」