蜻蛉(とんぼ)三秋
【子季語】
蜻蜒、とんぼう、あきつ、やんま、墨とんぼ、青とんぼ、黄やんま
【解説】
鬼やんま、塩辛蜻蛉、蜻蛉釣トンボ目に属する昆虫の総称。あきつ、やんまなどともいう。腹部は細長く円筒状。透明な二対の翅で飛び、大きな複眼を持つ。日本国をさす「あきつしま」は、蜻蛉が尾を咥えあった形に似ているからという故事による。
【例句】
蜻蛉やとりつきかねし草の上
芭蕉「笈日記」
蜻蛉や日は入りながら鳰の海
惟然「北の山」
行く水におのが影追ふ蜻蛉かな
千代女「千代尼句集」
とんぼうや白雲の飛ぶ空までも
几董「普明集五稿」
蜻蛉の尻でなぶるや角田川
一茶「七番日記」
蜻蛉や杭を離るる事二寸
夏目漱石「漱石全集」
蜻蛉行くうしろ姿の大きさよ
中村草田男「長子」
きらきらと目だけが死なず鬼やんま
加藤楸邨「吹越」
鬼やんまはるかに宙を返しくる
長谷川櫂「蓬莱」