松虫(まつむし)初秋
【子季語】
金琵琶、青松虫、ちんちろ、ちんちろりん
【解説】
松風のごとくに澄みわたる鳴声から松虫という。昔は鈴虫と松虫の呼び方が逆になっていた。これは中国で呼び名が逆であったからで、現在は、チンチロリンと鳴くのが松虫である。和歌の世界でも鈴虫と並んで音色が愛でられてきた。
【例句】
松虫は通るあとより鳴きにけり
一髪「曠野」
松虫のなくや夜食の茶碗五器
許六「鯰橋」
松虫のりんとも言はず黒茶碗
嵐雪「風俗文選」
松虫も馴れて歌ふや手杵臼
卓袋「続有磯海」
風の音は山のまぼろしちんちろりん
渡辺水巴「水巴句集」