鶏頭(けいとう)三秋
【子季語】
鶏頭花、扇鶏頭、箒鶏頭、槍鶏頭、房鶏頭、ちやぼ鶏頭、紐鶏頭、韓藍の花、からあい
【解説】
秋の季語。ヒユ科の一年草で、中国から渡来した。韓藍の古名で万葉集にも詠まれている。一メートル弱の茎先にニワトリのとさかのような真っ赤な細かい花をつける。黄や白の花もある。庭先などに植えられ、花が少なくなる晩秋までその姿を楽しませてくれる。江戸期までは若葉を食用にしていた。
【科学的見解】
鶏頭(ケイトウ)は、ヒユ科ケイトウ属の外来植物であり、観賞用として公園や庭で栽培されている。園芸品種も多数あり、紅赤、桃、橙、黄など花の色も多彩である。ケイトウの変種には、ヤリゲイトウやフサゲイトウが存在するが、花の形は鶏冠状にはならない。(藤吉正明記)
【例句】
鶏頭や雁の来る時尚あかし
芭蕉「初蝉」
鶏頭や松にならひの清閑寺
其角「五元集」
味噌で煮て喰ふとは知らじ鶏頭花
嵐雪「玄峰集」
鶏頭の昼をうつすやぬり枕
丈草「東華集」
錦木は吹倒されてけいとう花
蕪村「夜半叟句集」
鶏頭の十四五本もありぬべし
正岡子規「俳句稿」
人の如く鶏頭立てり二三本
前田普羅「普羅句集」
鶏頭のほとほと暮れてまだ暮るる
松本たかし「松本たかし句集」
鶏頭に飛び来る雨の迅さかな
松本たかし「松本たかし句集」
鶏頭をたえずひかりの通り過ぐ
森澄雄「浮鷗」
鶏頭を支ふる茎のあをかりき
高田正子「玩具」