茸(きのこ)晩秋
【子季語】
菌、たけ、くさびら、猪茸、黒皮茸、茸番、茸売、茸汁、天狗茸、煙茸、楢茸
【解説】
晩秋山林の湿地や朽木などに生える大型の菌類の俗称。傘の形をしていて種類が多く、美しい色を持つ毒茸もある。椎茸、舞茸、しめじ、榎茸などは味も良く人工栽培が可能で市場に出荷されている。
【科学的見解】
茸は、菌類の仲間で、その性質により腐生菌、共生菌、寄生菌に分けられる。多くの茸は、落葉や木材を分解して生活をする腐生菌であり、その代表として椎茸(シイタケ)、舞茸(マイタケ)、榎茸(エノキタケ)などが知られている。また、植物から栄養をもらいながら成長する共生菌として、松茸(マツタケ)が知られている。これらの茸は、通常土壌中や木材中に菌糸の状態で存在し、繁殖時期にきのこ(子実体)を形成し、胞子を飛散させ繁殖する。(藤吉正明記)
【例句】
初茸やまだ日数へぬ秋の露
芭蕉「芭蕉庵小文庫」
君見よや拾遺の茸の露五本
蕪村「蕪村文集」
海見ゆる芝に坐とるや焼菌
一茶「九番日記」
白雲に人家二三の茸山
松瀬青々「倦鳥」
茸狩り山浅くいくちばかりなり
正岡子規「子規句集」
爛々と昼の星見え菌生え
高浜虚子「六百五十句」