枯蘆(かれあし)三冬
【子季語】
蘆枯る、蘆の枯葉、枯葦原、寒蘆、枯芦、
【解説】
水辺や湿原に残った蘆が折れ伏したり、立ったまま枯れているさまをいう。一面の枯蘆原に淡い日が差したり、枯蘆が風に音を立てる様子は、冬の景色を一層寂しいものにする。
【科学的見解】
蘆の生物学的標準和名は、ヨシとなっている。ヨシ(別名:アシ・キタヨシ)は、湿地を代表とする在来の草本植物であり、北海道から沖縄まで広く分布する。穏やかな水辺を好むため、池沼や河川下流の河口付近などで生育する。ヨシの茎は、しなりがあり丈夫なため、枯れた後の茎は刈り取られ、葦簀や簾などの活用されてきた。(藤吉正明記)
【例句】
枯芦や難波入江のささら波
鬼貫「大悟物狂」
枯芦や朝日に氷る鮠の顔
惟然「藤の実」
青天に河辺の芦の枯葉かな
暁台「あさかり」
枯芦や低う鳥たつ水の上
麦水「葛箒」
枯芦の日に日に折れて流れけり
闌更「有の儘」
枯芦や夜々に折れ込む鴨の上
素丸「素丸発句集」
枯芦の中に火を焚く小舟かな
正岡子規「子規全集」
枯蘆や同じ處に捨小舟
正岡子規「子規全集」
枯蘆を刈りて洲崎の廓哉
正岡子規「子規全集」
枯蘆のすきまの水の夕映えて
長谷川櫂「天球」