紙子(かみこ)三冬
【子季語】
紙衣、紙ぎぬ、素紙子、白紙子、紙子売
【解説】
和紙を糊でつないで、柿渋を何度も塗り乾かしたあと一晩露にさ らし、揉んで柔らかな衣類に仕上げたもの。元来、僧侶や隠士が 寒さを防ぐ衣類として用いた。渋を塗らない白紙子は、二月堂お 水取りの連行僧の行衣にも使われる。
【例句】
ためつけて雪見にまかる紙衣かな
芭蕉「笈の小文」
むかしせし恋の重荷や紙子夜着
其角「水ひらめ」
あるほどの伊達仕尽して帋子かな
園女「玉藻集」
めし粒で紙子の破れふたぎけり
蕪村「蕪村句集」
二君には仕へ申さぬ紙子かな
内藤鳴雪「鳴雪俳句鈔」
我死なば紙子を誰に譲るべき
夏目漱石「漱石全集」