冬芽(ふゆめ)三冬
【子季語】
冬木の芽
【解説】
春にほころびる木の芽は、おおむね秋のあいだにきざし、鱗片や 樹脂などに保護されて寒い冬を越す。辛夷、木蓮、梅、桜など裸 木となった落葉樹の冬芽は案外とよく目立つものである。
【科学的見解】
冬芽は、樹木の越冬芽をさし、芽鱗を持つ鱗芽と持たない裸芽に分けられる。一般的な傾向として、寒い地域ほど鱗芽を持つ種の割合は高くなる。多くの植物は鱗芽となるが、裸芽を持つ代表的な樹木としては、ムラサキシキブ、クマノミズキ、イヌビワなどが知られている。また、冬芽には、春になると葉が出てくるものと最初に花が出てくるものに分けられ、前者を葉芽、後者を花芽と呼ぶ。(藤吉正明記)
【例句】
木々冬芽凍のゆるみに濃紫
前田普羅「飛騨紬」