蚤(のみ)三夏
【子季語】
蚤の跡
【解説】
褐色で、体長およそ二~三ミリほどの小さな昆虫。翅はないが脚が発達していて驚くほどの跳躍力がある。ほ乳類や鳥類に寄生して血を吸う。刺されたところはひどく痒くなる。ペストなどの伝染病を媒介することがある。「蚤の夫婦」といわれるように雄より雌のほうが大きい。
【例句】
蚤虱馬が尿する枕もと
芭蕉「奥の細道」
山の姿蚤が茶臼の覆かな
芭蕉「蕉翁全伝」
痩せ蚤の這ひ出る肩や旅枕
丈草「幻の庵」
ここもはや馴れて幾日ぞ蚤虱
惟然「菊の香」
切られたる夢は誠か蚤の跡
其角「花摘」
蚤の迹それも若きはうつくしき
一茶「七番日記」
旅やすし蚤の寝巻の袖たたみ
正岡子規「子規句集」
庵主の淋しく蚤をふるひけり
村上鬼城「定本鬼城句集」
蚤はずむ畳ながらに日の出かな
石橋秀野「桜濃く」