玉蜀黍(とうもろこし、たうもろこし)仲秋
【子季語】
南蛮黍、高麗黍、もろこし、玉黍、唐黍、焼唐黍、なんばん
【解説】
イネ科の一年生作物。アメリカ大陸原産、草丈は二~三メートルほど。大地から肥を吸い上げる力が強いため、痩せた土地でもよく育つが、地力を消耗させる。北海道産が有名。ゆでたり焼いたりするほか、ポップコーンやコーンフレークなどにもなる。
【科学的見解】
トウモロコシは、熱帯アメリカ原産の一年草であり、日本へは大正初めに渡来したとされている。本種は、生食用のスイートコーン及び飼料用のデントコーンやフリントコーンなどに分けられ、現在ではそれぞれ改良が行われて様々な品種が作出されている。本種は、約一万年前から栽培が行われてきたとされており、その原種として挙げられているのがテオシントである。テオシントの果実には、種子が一列しかついていないが、長い年月にわたる選抜と交配を経て、現在のトウモロコシが完成した。(藤吉正明記)
【例句】
唐秬や軒端の萩の取りちがへ
芭蕉「六百番発句合」
古寺に唐黍を焚く暮日かな
蕪村「蕪村遺稿」
唐黍やほどろと枯るる日のにほひ
芥川龍之介「澄江堂句集」
唐黍焼く母子我が亡き後の如し
石田波郷「春嵐」