一輪草(いちりんそう、いちりんさう)晩春
【子季語】
裏紅一花、一花草
【解説】
キンポウゲ科アネモネ属の多年草。四月~五月頃に山の麓や川のほとりなどに生える。茎を一本だけ出し、そこに白い花を一輪つけることから「一輪草」と呼ばれる。高さは十五センチほどで、どことなく淋しい感じの花である。
【科学的見解】
イチリンソウは、キンポウゲ科の多年草で、本州から九州の山地の林縁や林床に生育している。近縁種としてニリンソウが存在し、花の数でも見分けられるが、本種は総苞葉に柄があるのに対して、ニリンソウの総苞葉には柄がないため、その点でも区別できる。本種は初夏には枯れる早春植物である。(藤吉正明記)
【例句】
方丈や一輪草をただ一輪
長谷川櫂「蓬莱」