桜桃の実(おうとうのみ、あうたうのみ)仲夏
【子季語】
桜桃、さくらんぼ
【解説】
一般にさくらんぼと呼ばれているものは、西アジア原産の西洋実桜とその改良栽培種。やや黄味がかったみずみずしい赤い実が、二つに分かれた細く長い柄の先に垂れているのは、何とも可憐。
【科学的見解】
一般的に桜桃として栽培されているものの多くは、セイヨウミザクラ(甘果桜桃)と呼ばれるもので、バラ科に属する落葉高木である。セイヨウミザクラは、明治以降日本へ導入された後、主に山形県で海外品種をもとに育種が行われ、日本の代表品種である「佐藤錦」や「紅秀峰」等の品種が作出された。本種の果実は、二~三センチメートルの大きさで、成熟期には十五から二十度ほどの糖度となる。雨にあたると実が裂果してしまうため、ハウスなどで雨除け栽培がおこなわれている。(藤吉正明記)
【例句】
茎右往左往菓子器のさくらんぼ
高浜虚子「六百五十句」
一つづつ灯を受け止めてさくらんぼ
右城暮石「散歩圏」
美しやさくらんぼうも夜の雨も
波多野爽波「湯呑」